妊娠中に気を付けたい食事と栄養

妊娠期はお母さんの体を通じて赤ちゃんにも栄養を届ける、とても大切な期間です。赤ちゃんとお母さんの体はへその緒を通じてつながっており、お母さんの毎日口にするものがそのまま赤ちゃんの成長にも関係するのです。
赤ちゃんの毎日の成長に思いを寄せながら、ゆったりとした気持ちで食事の栄養バランスに配慮していくことが大切です。

妊娠周期ごとに必要な栄養素を積極的に

妊娠期と一言で言っても、妊娠初期と妊娠後期ではお腹の中の赤ちゃんの大きさも、成長の様子も大きく変わってきます。そのため、妊娠期の初期・中期・後期のそれぞれの時期に特に大切な栄養素を確認しておくことも大切です。
妊娠期の各周期別の赤ちゃんの成長と、お母さんが積極的に摂取するべき栄養素を理解して毎日の献立に取り入れていきましょう。

【妊娠初期】

葉酸

妊娠3か月まで、特に赤ちゃんの神経管が閉鎖する妊娠6週頃までの期間、葉酸をしっかりと摂取することが重要です(※1mgを超えないこと)。葉酸の摂取により、お腹の赤ちゃんの脳や脊髄(せきずい)の発達異常である「神経管閉鎖障害」リスクを減らすためです。
神経管閉鎖障害とは無脳症、二分脊椎といわれる重い形態異常です。産科ガイドラインにおいても、およそ妊娠1か月前から妊娠3か月まで、0.4mgの葉酸摂取が推奨されています。葉酸摂取が難しい人では、サプリメントを服用することも勧められます。
【葉酸の多い食品】ほうれん草、からし菜、グリーンアスパラ、ブロッコリー、かぼちゃ、レバー、納豆、マンゴー、いちご、抹茶

【妊娠中期】


胎児の成長に伴う鉄貯蔵,臍帯・胎盤中への鉄貯蔵および循環血液量の増加に伴う赤血球量の増加による鉄需要が高まり、妊娠中は鉄の必要量が増加します。妊娠中期以降には特に意識して摂取したい栄養素です。妊娠中期以降に軽度の貧血(いわゆる妊婦貧血)になるのは、血栓塞栓症を防ぐ意味で合目的な面もあります。ただ、血色素が下がりすぎる場合は、鉄剤が処方されます。妊娠高血圧症では血液が濃縮され、血色素の値が高くなるとがあるのですが、その場合にはかえって要注意です。
【鉄の多い食品】赤身のお肉、卵、しじみ、あさり、牡蠣、いわし、さば、ま、高野豆腐、がんもどき、納豆、チンゲン菜、小松菜、プルーン、レバーなど

カルシウム
カルシウムは赤ちゃんの歯や骨の形成に使われる栄養素です。日本人の女性は特に不足しがちな成分であり、妊娠中と、特に妊娠中期以降には積極的な摂取が推奨されます。
【カルシウムの多い食品】豆腐、生揚げ、高野豆腐、牛乳、ヨーグルト、チーズ、しらす、豆アジ、ししゃも、わかさぎ、ごま、大根葉、かぶ葉、水菜

【妊娠後期】

DHA
脳の成長と発達にとって重要な役割を果たすと言われています。妊娠後期から赤ちゃんの脳は、急激に発達する時期であり積極的に摂取することが特に大切です。
【DHAの多い食品】サンマ、さば、まぐろ、豚肉、牛乳、卵、チーズなど

サプリメントはあくまでも補助的なものと考えて

妊娠期はサプリメントで栄養を補給することも一つの手段です。しかし、サプリメントを飲んでおけばよい、という訳ではありません。

サプリメントによって、必要以上に栄養成分を摂取しすぎてしまうことが悪影響となることもあるためです。また、サプリメントで大切な栄養成分を補えたとしても、普段の食事がおろそかになり添加物などが多い食事になってしまうと逆効果にもなりえます。

理想は、普段の食事から必要な栄養成分を摂取すること。かかりつけ医にも相談しながら、普段の食事の栄養バランスを整える習慣を心がけていきましょう。

「バランスの良い食事」をプレッシャーにしないように

また妊婦さんにとっては、食事を気を付けると同様に、「リラックスする時間」もとても大切となります。
妊娠期は、ホルモンのバランスも崩れストレスもたまりがちな時期でもあるのです。お腹の赤ちゃんのためにバランスの良い食事を摂らなければいけない…と食事がストレスになってしまうこともある点は注意が必要です。バランスの良い食事を心がけながら、ゆったりとした気持ちで日々の生活を送る方法も大切にできるといいですね。