子宮頸部上皮内腫瘍(Cervical Intraepithelial Neoplasia; CIN)は、子宮頸がんの前がん状態にあたる病変です。CIN1は子宮頸部軽度異形成、CIN2は子宮頸部中等度異形成、CIN3は子宮頸部高度異形成または子宮頸部上皮内癌とも言います。CIN1や一部のCIN2では自然に治癒することも多いのですが、CIN3や多くのCIN2では浸潤がんになる危険性が高くなるので、治療が必要となります。適切な治療を行うことによって、子宮頸がんを防ぐことが可能です。CIN2やCIN3の治療法としては子宮頸部円錐切除術とレーザー蒸散術があります。浸潤がんが隠れている可能性がある場合には浸潤がんを否定するためにも円錐切除術を行いますが、その可能性がない場合にはレーザー蒸散術で治療できます。

子宮頸部レーザー蒸散術

当院では、CIN2またはCIN3(子宮頸部の中等度異形成、高度異形成、上皮内癌)の治療として子宮頸部レーザー蒸散術を行っています。これは、子宮頸部の病変を含む表層全体を炭酸ガスレーザーによって蒸散させて消滅させる治療法です。CIN2については、病変が消えにくい場合やリスクの高いHPV 16, 18, 31, 33, 35, 45, 52, 58のいずれかが陽性の場合などが主な対象です。円錐切除術では流早産の危険が10-25%ありますが、レーザー蒸散では妊娠分娩への影響はほぼありません。したがって、レーザー蒸散は将来分娩を予定している場合には最適な治療と言えます。

子宮頸部の上皮組織を蒸散するため、治療後の子宮頸部の変形はほとんどありません。所要時間は約5分前後で、局所麻酔だけで痛みはほとんど伴いません。

術後の経過と注意点について

レーザー蒸散手術を受けられた方は、翌日から通常の生活を送ることができます。しかし蒸散された組織が再生し、元に戻るまでに約4-6週間程度かかります。それまでの間は少量の出血やおりものが続くことがあり、性行為は避けていただきます。また術後2か月後から定期的に診察に来ていただくこと必要です。

 

セミナー実績

第63日本婦人科腫瘍学会(2021年7月16-18日開催)

ランチョンセミナーでレーザー蒸散に関する講演の座長を務めました。

第62回日本婦人科腫瘍学会の会長特別企画6;「HPVワクチンについて話そう」(2021年1月29日―2月1日/Web開催/仙台市)

宮城産婦人科医会会長の濱崎洋一先生ともに座長を務めました。演者は次の2名でした。

おざわ女性総合クリニック院長 小澤信義先生
横浜市立大学産婦人科教授 宮城悦子先生

 

第73回日本産科婦人科学会のスポンサードセミナー(2021年4月22-25日/Web開催/新潟市)

「一気にわかる!HPV検査」で座長を務めました。
演者は、昭和大学産婦人科教授の松本光司先生でした。